日本では、古来より打刃物は特別な意味を持っています。武士の魂と言われた刀はもちろん、邪を払う神の依代や奉納物としても扱われてきました。打ち固めた鉄が持つ切れ味は神聖視され、今なお多くの職人がその製造に取り組んでいます。
堺は日本の中でも重要な土地でした。鍛治も5世紀に始まり、江戸時代にはその切れ味が幕府に認められて「堺極」の印が与えられています。現代でも1982年に国から伝統的工芸品・堺打刃物として認定され、その品質と高度な技術は全国で認められています。1600年の歴史の中で職人たちが切磋琢磨し築き上げた分業制は、それぞれの工程をさらに高度な専門技術に引き上げ、その高い技術の蓄積によって他にない輝きを作りあげています。
その切磋琢磨の中、1926年(大正15年)に河村刃物は堺の旧市街の中心地で創業しました。以来、ほぼ100年にわたり厳しい目と高い要望に応えながら、ひたすら誠実に包丁製造に取り組んでまいりました。当社は小さな会社ですが、それゆえに細かな要望に高い品質で応え続けてこられたと自負しています。創業者の河村捨三から100年守り続けた「堺菊守」の銘は、確かな信頼と嘘をつかない誠意の証です。
鋭い包丁で食材を切ると味が美味しいとされています。また、良い包丁は研ぎ易く長持ちします。使う楽しみを与えてくれる、本当に良い道具を提供し続けることをお約束します。